害鳥・害獣まめ知識
アライグマについて
●アライグマとは
アライグマ(洗熊)は、アライグマ科アライグマ属に分類される哺乳類の総称である。
「食べ物を洗って食べるという習性から、名づけられた」と一般的に広まっているが、実際には「前足を水中に突っ込んで獲物を捕る姿が手を洗っているように見えるため」というのが由来である。飼育下では、食べ物を水につける動作が見られる。体長はおよそ40〜60cm、尻尾の長さは20〜40cmほどで、灰褐色の体毛をもち、目のまわりから頬にかけて黒い斑紋がある。タヌキに非常に似ており、長いふさふさとした尾に黒い横縞があるのが大きな特徴である。また、アライグマの足は白っぽく、耳に白い縁取りがある。熊(クマ)などと同じく、かかとをつける蹠行性(しょこうせい)という歩き方をするため、足跡は人の子供の手のような長い5本の指がくっきりと付く。基本的に水辺近くの森林に生息するが、湿地や農耕地、海岸や都市といった幅広い環境に適応できる。幼少期においては人に懐くが、成獣(特に発情期)になると気性が荒くなり、一般人が飼育するのは非常に難しい。元々日本には生息していなかった外来種であるが、飼育個体が脱走し、天敵があまりいなかった為、短期間で増加した。現在、農作物や家畜、ペットへの被害、家屋への侵入などの問題が深刻化している。現在の日本では、アライグマは外来生物法により特定外来生物に指定されているため、無許可での飼育、譲渡、販売は禁止されている。
●アライグマの特徴
- 夜行性動物だが、昼でも行動することがある。泳ぎ、木登りが得意で、行動範囲が広い。(もっとも、穴を掘ることは苦手。また、足跡が残りやすい。)
- 糖度の高い作物を好むが、雑食性で、両生類(カエル等)、魚類(スズキ、コイ、ナマズ等)、鳥類(卵)、哺乳類(死骸を含む)、昆虫類、甲殻類(ザリガニ等)、無脊椎動物(甲虫、トンボ、バッタ等)、植物など、様々なものを食べる。器用な指を使って獲物を取る。
- 繁殖時期は春だが、秋に再繁殖することがある。繁殖力が極めて強い。一夫多妻制。
- 自ら巣を作らず、樹木や家の屋根裏、他の動物が作った巣に住み着く。
- 学習能力が高い。
- 山間部や海岸部、都市部など様々な場所に生息する。
- マイナス4℃で冬ごもり(半冬眠)をする。
- オオカミ、ピューマ(山ライオン)、オオヤマネコなどが天敵である。
●アライグマによる被害
- 民家、倉庫、神社などの屋根裏に侵入する。屋根裏などをねぐらとして住み着き、糞による悪臭や騒音。
- 農作物(トウモロコシ、スイカ、イチゴ、メロンなど)の食害。鹿による農作物の被害と同じ程度の大きな被害。
- 生ゴミを漁り散らかす。(農作物を収穫した後の野菜屑、ペットの餌の食べ残し、生ゴミはアライグマの餌になる。)
- 感染症の媒介(危険な寄生虫「アライグマ回虫」を持っている。)
- 家畜(乳牛など)、ペットを襲う。(金魚やコイ、犬や猫も狙われる。)